2013年11月21日

宇宙人。問題はいるいないではなく、会えるか会えないか

昨日は神奈川県の希望ヶ丘高校にいってきました。
総合学習の時間に、7人の生徒さんとのお話しです。

いつものように「決める力」や「発想力」のスキル研修をしてもよかったのですが、趣向を変えて
・私の好きな話をする
・質問を考える
・それについて議論する
を2回転することにしました。

で、選んだのが「恐竜・地球・ヒト・宇宙人」

前半、恐竜の話をいっぱいして後半、宇宙人と地球の話をしました。
宇宙人の話は短くて、スライド2枚でこんな感じです。(内容を一部修正)

1枚目:合理的推論に基づく2つの前提
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1. 宇宙人(地球外知性体)は存在する
・地球型惑星は多い。銀河系だけでも恒星2000億個×8%×22%=40億個
・その1%に知性が生まれるとすれば4000万!

2. しかし光の速度は超えられない
・もし超えられるなら、タイムマシンが可能。となると宇宙の歴史はガタガタに
・銀河間の交流はほぼ不可能(アンドロメダ銀河まで片道239万年)
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地球型惑星の発見はここ数年の天文学のトピックスでした。
そしてこの11月4日には、UCLAバークレー校のチームが驚くべき発表をしました。
「太陽に似た恒星の22%に地球型惑星が存在する」

8月に運用を終えたケプラー宇宙望遠鏡の観測結果では、調べた42000の恒星のうち、地球型惑星(サイズが地球と同じか2倍程度で、公転距離が太陽と地球との関係に近い惑星)を持つのはたった10個でした。
しかし、ケプラー宇宙望遠鏡は、恒星と惑星の食(重なって恒星の光が暗くなる)を利用して観測するため、惑星の公転面が地球からの方向と一致しないと観測にかかりません。
それを補正すると、上記の結論になるというわけです。

すると恒星はわれらが銀河系だけでも2000億個あるので、440億個もの「地球型惑星」が存在することになります。いや本当は「太陽に似た恒星」なのでそれがG型主系列星のことだとすると、その8%弱で40億個。
その1%に知的生命体が生まれるとすれば、4000万になります。

この銀河系は、4000万種もの知的生命体で溢れている!!!


ころが話はそう簡単ではありません。
文明の存続期間、種の存続期間が問題になります。

たとえば地球自身が「知的生命体が生まれた星」なわけですが、宇宙人が1億年前に訪れていたら、どうでしょう?宇宙人たちは恐竜の群れを見て帰っていったことでしょう。

10万年前でも大差ありません。われわれはコミュニケーションできずに終わったでしょう。
じゃあ、10万年後だったら?

人類は果たして10万年後も、今の文明を維持してるのでしょうか?
もう種として滅んでいるかもしれません。

4000万の知的生命体は、その文明の存続期間によって隔てられているのです。

ゆえに、もし各文明の存続期間が10万年の長きにわたったとしても、銀河系の中に同時に存在する文明は、1000足らずになってしまいます。


光の速度を超えられるなら、問題ありません。
宇宙戦艦ヤマトのようにワープをくり返して、14万8000光年先のイスカンダルまで1年で往復です。
1000の知的生命体(宇宙人)と自由に交流を楽しめるでしょう。でも前述の通り、それは多分ムリ。光速はきっと超えられない。

そうするとまず、銀河系外の知的生命体との交流は絶望的です。お隣のアンドロメダ銀河でも239万光年離れているので、最速でも往復で500万年かかります。文明がもちません。

直径10万光年の銀河系内でも、1000の文明が均等に散らばっているとすると、最寄りの文明まで3000光年以上の距離があります。

銀河系.jpg

今のわれわれの科学水準では、光速(秒速30万km)の0.02%(秒速60km)にしか達していないので、先は遥か遠いですがなんとか亜光速航行ができるようになったとして、やっぱりお隣まで3000年以上かかります。
われわれの文明が滅びるまでに、果たしていくつの文明と出会うことができるでしょうか。

そう、問題は宇宙人が「いるいない」ではないのです。
地球型惑星はありふれており、おそらくそこで多くの知性体が生まれているでしょう。そしてその中には圧倒的なテクノロジーで、亜光速航行を実現し、宇宙への旅を実現する者も出てくるでしょう。
でも、時間の壁が立ちはだかります。
その文明自体がどれだけの期間もつのか、訪問先の文明がどれだけもっているのかが問題なのです。われわれが真に宇宙人との邂逅を望むのであれば、この文明を10万年はもたせないと、ならないのです。