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第38号 ケーススタディの誤謬

一杯書いてあることが重要なわけではない

みなが良くだまされることが幾つか。思い込み、と言っても良い。


  1. 重要な点は情報も多い(一杯書いてあることが重要な点、と思い込む)
  2. 情報は構造化されている(自分で再整理しようとしない)
  3. 情報は正しく矛盾はない(不整合に気が付かない、その奥にある真実を見逃す)
  4. 経営陣のコメントは正しい(そこからスタートし「前提」とし独自の考えを持たない)

どれも、大間違いだ。

特に4はそう。今の経営陣の意見やコメントが全て正しいならコンサルタントを雇う必要など無いし、それらを無批判に受け容れるなら、「社長の練習」になどならない。

『PS 対 SS/64』は、現実ビジネスの意思決定練習のために、書いたもの。だから、不親切だ。

しかも、一見、親切だ。構造化してあるし、競合間の比較も明確。


でも、たった6ページの紙面に何をどう詰め込むべきか、相当に考えた。一つのことを見いだすにも、数字そのままではダメで、分析(と言っても四則演算の)しないと分からないようにする。大事な情報だけでなく、要らない情報も混ぜ込む。注釈の隅に、必須な情報を入れる・・・

そして、ちゃんと結論が出るようにする。


さて、このケースが価値ある教材となるかどうか、受講生さんたちの審判を待つとしよう。

前回の「バイクで転倒」記事に対して、多くの方からご心配を頂いたので少し近況を。

左手首等は完治に向かってジワジワと。この時間の掛かり方が、そこはかとなく年齢を感じさせる。

バイクは全損扱いとなり、事故車専門買取業者さんに引き取られていった。よき第二の人生を。

そして、私の手元には既に同型のバイク(08モデル)が。


4月から金沢工業大学大学院 虎ノ門キャンパスで教授職を務める。ケース作成もその一環。但し、これも夜と週末の仕事であり、平日昼は子どもたちへの教育活動に向けて色々と別のことを。

初出:CAREERINQ. 2008/03/17

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